外壁塗装で使う道具の種類とその施工方法について
外壁塗装で使う道具の種類とその施工方法について
このページでは、「外壁塗装で使う道具の種類とその施工方法について」をご紹介しています。
2021/07/31
外壁塗装を行う際職人さんは様々な道具を使用します。その中でも今回は塗装作業の際にメインに使用するローラーや刷毛、スプレーガンなど直接作業に関わる道具の種類とそれらを使った施工のメリット、デメリットを紹介します。
ネット上などでは「ローラーの方が塗料を厚く塗れるので塗装も長持する」という情報もあれば「スプレーガンを使った方が均一に塗れる為良い」という情報もあります。両方ともそれらしいので正解がどちらかわかりませんね。
今回は各塗装の方法の種類とそれぞれの特徴についてご紹介します。
コンテンツ目次
塗料を塗る道具は3種類
ローラー、刷毛、スプレーガンの施工方法の中で、現在一般的な施工はローラーを使った塗装ですが、それ以外の刷毛を使った塗装やスプレーガンを使う吹付け塗装が全く使われていないという事ではありません。塗装の職人さんは、塗る個所や施工内容、現場の状況に応じて、各々の道具の特徴を活かして、道具を使い分けています。
一般的にローラーを使って塗装することが多い
街中で塗装工事の現場を見たことはありますか?
現在外壁塗装工事では主にローラーに塗料を付けて塗るローラー塗り、機械(スプレーガン)を使い塗料を吹き付けて塗装する吹き付け塗装、細かな所を塗る刷毛塗りがあります。
上記3種類の施工方法の中でローラーを使ったローラー塗りが一般的です。その次に吹き付け塗装、これら2つで施工が難し箇所へポイントとで刷毛を使った刷毛塗りが行われます。刷毛塗りはローラーや吹き付け塗装と併用するのが一般的です。
ローラー塗りの特徴
毛やスポンジなどローラーの部分へ塗料を含ませ施工する方法です。大きな特徴は吹き付け塗装と比べて、塗料が近隣へ飛散するリスクが少なく住宅どうしの距離が近い日本の住宅事情と相性が良かった為この施工方法が一般的になったと考えられています。
またローラー塗りは吹き付け塗装とは違って直接手で塗っていく為、「手塗り」とも呼ばれています。ローラー塗りでは外壁や屋根など面積の広い箇所を施工する場合も比較的スムーズに作業することができます。
ローラー塗装のメリット
塗料の飛散が少ない
塗料の無駄が少ない
塗料を厚く塗りやすい
ローラー塗装のデメリット
細かな箇所の作業には不向き
現場では複数のサイズのローラーが必要
経験不足だと均一に塗ることが難しい
吹き付け塗装と比べ塗装に時間がかかる
細かい個所の作業がしづらい等のデメリットがあるが外壁、屋根のように広範囲を施工する際の作業性も高くバランスが良い施工方法がローラー塗りです。
特に塗料を周囲に飛散しにくいのは大きなメリットで近隣とのトラブル防止や材料費の無駄を減らすことに繋がります。
ローラーの種類
ローラーには色々なタイプがありますが、主にスポンジ状のマスチックローラーと、毛状のウールローラーがあります。
ウールローラー
均一塗に適したローラーで耐水型紙でできた芯に植毛されたものが使われます。毛丈もいくつかあり、短毛
、中毛、長毛に分かれておりそれぞれ特徴があります。
短毛:平坦な面を塗装するのに最適
中毛:一番使われるローラーで、短毛と長毛、どちらの特徴も持つオールラウンダー
長毛:長い毛が奥まで届くので、凸凹の箇所をきれいに塗ることができる
マスチックローラー
スポンジ素材を取り付けたもので砂骨ローラー、多孔質ローラーとも呼ばれます。一度に多くの塗料を吸い上げる事ができるのが特徴で厚塗りをする際に最適です。
マスチックローラーは目の粗さで塗料の吸い込み具合を調整することができます。
塗料に空気が入ってしまう事も
用途や塗料の種類が現場に適していない物を使うと塗料と下地の間に空気が入ってしまい見栄えが悪くなるだけでなくその後の耐久性にも大きな影響を与えます。
空気が入ってしまう主な原因は
ローラーを転がすスピード
適切なスピードは、0.3m/秒~0.5m/秒程度です。ローラーを転がすスピードを上げると塗料の飛散も多くなり空気が入り込む原因にもなります
ローラーを押さえる圧力
ローラーの強く抑えると塗料の泡立ちがを抑える事ができますが泡自体は大きくなりがちです。逆抑える力を弱めると泡立ちは多くなりますが小さい細かな泡になります。
この抑える力のバランスが偏りすぎると空気が入る原因となります
仕上げまでの時間
塗装の施工に時間がかかると塗料が定着して粘度が上がります。そのまま何度も同じ部分を転がすと空気も一緒に取り込んでしまう可能で性があります。ローラーを2、3往復程度で仕上げるのが目安でしょう。
塗料の粘度
塗料の種類、季節、当日の温度等を考慮する必要があります。
下地材の種類
塗料の吸い込みが激しい、表面に凹凸がある等下地材の性質をよく確認する必要があります
吹き付け塗装
スプレーガンと呼ばれる機械で霧状の塗料を壁に吹き付ける工法です。スプレーガンの種類によって模様が異なります。ガンの一番の特徴はその作業スピードです。ローラーと比べ機械での噴射式ですので短時間で広範囲を数倍早く塗装することが可能です。しかしスプレーガンの場合周囲に塗料が飛散してしまう他、飛散した分の塗料ロスが出たりとデメリットもあります。現在は住宅の塗装ではあまり用いられず大規模な建物の塗り替え工事の際にスプレーガンで施工をするのが見られます。
吹き付け工法のメリット
吹き付け工法ならではの模様がつけられる
作業時間が短縮できる
吹き付け工法のデメリット
塗料が周囲に飛散する
塗料のロスがでる
塗料の臭いも発生しやすい
騒音がある
吹き付け工法の仕上げの種類
リシン仕上げ
昔から使われている模様で落ち着いた雰囲気の凸凹模様が特徴的です。比較的安価でコストを抑える事が可能です。塗料に細かい砂利や砂等を混ぜて壁に吹き付けます。混ぜる石の大小によって模様が異なり小さい石であれば細かい模様になり石が大きくなれば荒井模様の仕上がりとなります
吹き付けタイル仕上げ
凸凹した模様でありながら表面がつるつるとしています。
スタッコ仕上げ
リシン仕上げよりも5~10ミリほど厚く塗ります。リシン仕上げよりも厚みがあるぶん、立体的で重厚感のある仕上がりになり耐久性も向上します。
近年戸建ての塗装時に吹き付け塗装が使われるのは珍しい
最近の戸建ての塗装時に吹き付けで塗装を行う事はほとんどありません。実際吹き付け塗装の施工数はここ数年でも大きく減少しています。その主な理由は次の2つ。
外壁材がサイディング主流となってきている為
近年外壁材がサイディングとなって来ている影響で吹き付け工法が減少しています。
吹き付け塗装はモルタル壁に採用されることが多かったのですが近年壁材にサイディングが台頭しモルタル外壁の施工件数が減ってしまいました。これが原因で吹き付け塗装も減少したと考えられます。
サイディングにも吹き付けは可能ではありますがあまり一般的ではありません。理由としてはサイディングにはそもそも意匠性が表現されているてためそこへあえて吹き付けで意匠性を表現する必要性が無いというのが理由です。
吹き付け塗装は多量の塗料が飛散する為
上記のデメリットでも取り上げましたが吹き付け塗装が風に待って塗料が飛散してしまうという大きなデメリットがあります。日本は都会では隣と家が近くまた住宅地として密集している地域も多くあります。いくら養生をしても近隣への被害は少なからず発生してしまう可能性があるのです。このことから吹き付け塗装自体を避けて施工しているので施工数も減っているという状況です。
実はローラーを使った塗装工事が行われるようになったのは意外と最近の事でそれまでは吹き付け工法が主流でした。しかし上記でデメリットとして紹介した通り塗料の無駄が出る他近隣への飛散が問題にあげられローラーが主流となってきました。
ただ、やはり広範囲を施工する際はローラーを使うより数倍早く作業することができ大きな建物を塗装する際は吹き付けでの塗装も行われています。職人さんは現場の規模や状況から判断して施工方法を選択しているのです。
刷毛を使った手塗り工法
昔ながらの小さな刷毛を使った手塗りの工法です。刷毛は塗料に併せて素材を使い分けまた塗装する場所によっても刷毛の種類を変えて施工を行います。ローラーやスプレーガンと違い広い面積の塗装には向いていません。また職人さんの技術に差が出やすい工法と言えます。
刷毛塗りのメリット
狭い場所の塗装に向いている
タッチアップなど補修作業に最適
刷毛塗りのデメリット
塗りムラが出やすい(職人さんの技術の差が出やすい)
塗装した際にハケの毛が混入しやすい
広範囲をの作業には時間がかかる
昔は刷毛だけで塗っていたと思うとすごいですね。職人さんには頭が下がります。
結局ローラーと吹き付けはどちらが良いのか?
結論どの工法であっても正しい施工手順で塗装を行っていればローラーであっても吹き付けで合っても違いはありません。「ローラーだから長持ち」「スプレーガンだから綺麗」ではなく施工する職人さんの技量によって仕上がりが違ってきます。模様を付けたり作業場所によって塗る方法を変えたりとあくまでも職人さんがやりやすい方法で状況によって選択をしたいるだけという事になります。
まとめ
現在ではローラーを使った施工方法が一般的だという事が分かりました。ただ「ローラーだから」「吹き付け」だからという理由で品質に大きな差が出るわけではありません。あくまでも職人さんが「この方法であれば綺麗に塗れる」という考えで施工方法が採用されておりそれが近年の住宅事情の影響から吹き付けでは無くローラー塗装が多い結果となっています。
塗装工事はただ上から塗られているのではなく奥が深いものですね。是非自分のご自宅などを外壁塗装、屋根塗装される際は施工方法などを聞いてみてはいかがでしょうか。